2012年2月25日土曜日

エントリーナンバー6

今日が最終日!
オリオンさんの登場だ!
どうぞ!




1話 脱走
「逃げたぞー!追えっ!」
「待て!逃がすなー!」
暗い森に響き渡る兵士たちの声は次第に遠のいていった。
「ハッ ハッ ハッ」
その女は肩で息をしながらも眼には鋭い光が宿っていた。
(城へ…行かなければ…ライトウールに…)
女は頭上にそびえる巨大な宮殿をにらみつけた。
-1時間前-
「姫、また食事に手をつけなかったそうだな。」
リラは急に部屋に入ってきた男に少し目をやると、再び窓の外へと目を移した。
「放っておいてちょうだい。食欲がないのよ。」
「身分をわきまえたまえ、姫。確かにあんたはライトウール国の姫だが、ここ、ダークシルクでは、何の権利もない。そう、ただの15の少女にすぎないのだ。」
男はそこで話を止め、リラを見つめた。リラは相変わらず窓の外の暗い森を見つめている。男はまた話し始めた。
「なあ…リラ姫よ。あんたはここ、ダークシルク帝国に人質としてきているのだぞ。だから…。」
「知ってるわ。それに…名前も名乗らないあなたに指図されたくないわ。」
リラは向こうを向いたまま言い切った。男は軽く舌打ちすると、息をはき出すようにこう言った。
「俺はバークス・ラン。もう俺はあんたの名前を知っているから自己紹介はいい。」
「もとからするつもりはないわ。どうせあなたの上司から聞いているはずだもの。」
バークスは「ハンッ」と鼻で笑うと冷笑を浮かべながら言った。
「ああ、ライトウールの国王の娘。『リラ・フィンルルノア』。幼き時、よろしくお願いします。よく森の中で遊んだとか。フッ…ずっと見つめているその森はその森にそっくりなのか?」
バークスはからかうように最後の言葉を付け加えた。しかし、リラはにこりともしないで言い放った。
「冗談でしょう?こんなじめじめした暗い森が、ライトウールの森にそっくりだなんて。ライトウールの森は、いつでも明るくて、どの木にも日光が当たって動物たちが駆け抜けていたわ。よくもそんなことがいえたものね。」
リラは一気にそういうと出そうになった涙を必死に止めた。
バークスは急に黙りこくった。リラをしばらく見つめてから、口を開いた。
「とにかく食事は少しでもいいから取れ。死なれたら人質の意味がなくなってしまう。」
そこまで言うと、バークスは外に出て、ゆっくりと扉を閉めた。
リラはバークスの足音が聞こえなくなると、立ち上がり、窓の両端にある大きなカーテンを細長く引き裂き始めた。リラのいる部屋は3階。ここにあるだけの布を使えば、何とか地面に届く、とリラは考えた。
カーテンをひきさき、つなげてみたが、3階から降ろすには少々短かった。
そこで、リラはスカートのすそを切り裂きつなげた。
そして、窓枠に手をかけると、ゆっくりと引いた。すると、窓はすんなりと開き、冷たい空気が入ってきた。人質を収容するには不用心すぎる作りだった。
(あいつら私が逃げないとでも考えたのかしら。それとも…)
何か罠があるような気がしたがリラはひもを取り付けると、それを握り、一気に滑り降りた。

~そして現在~
リラは暗い道をひたすらに駆けた。闇雲に、とにかく兵士のいないところへ、と考えていた。
すると、いきなりリラの視界が開けた。
カラン……カラッ…ポチャン…
リラの足元には暗く、恐ろしい崖が大口を開け、待ち構えていた。
「--っ…。」
リラは後ろから兵士が追ってきていることを忘れその場に立ちすくんだ。
その時、すぐ後ろから騒がしい声が聞こえた。
「おい、姫は向こうだ!行くぞ!」
リラははっと気が付き、横の茂みに駆け込もうとした。すると、
「おい!リラ姫!こっちだ!こっちのこの森を抜ける逃げ道がある!来い!」
という、男のささやき声が聞こえた。
リラは一瞬戸惑ったが
「早くしろ!」
とせかす声に従い、声のした方へと急いだ。

どうでしたか?
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